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中国に飲み込まれる香港と最後の抵抗

Occupy Centralが継続される中、月曜日の市庁舎へ続く通りをめぐる攻防が始まろうとしている決戦前夜。香港の現状、民主主義と一国二制度の展望、そしてそのインパクトを振り返ってみる。

香港市民の現体制に対する不満、中国政府への反発は自由主義圏に住む我々にとって理解することは容易であり、共感も覚えるだろう。形式上の選挙制度はあるとはいえ、しょせんは中国政府の傀儡が選ばれるようになっている見せかけのものであり、自分たちが選んだ政府には程遠い。香港市民は天安門事件の犠牲者を毎年追悼しており、政治的抑圧の恐ろしさを強く意識している。中国政府が自由な選挙など容認しないと明言した今、香港市民には抑圧的で暴力的な独裁政府の本性がはっきりと見えたことだろう。

今でこそ抗議のデモを行うこともできるが、より中国の影響力が増大し、支配が強まれば大陸と同様に抗議のデモを行うこともできなくなるであろう。中国政府体制内の暗闘をゴシップ記事でからかったり、権力闘争に敗れた側がその反論を香港で出版することもできなる。怪しげな飛ばし記事とともに、突如スクープを発表するアップルデイリー紙などは存続すらも危ういものとなろう。管理人に限らずリバタリアンは香港にある種の疑似リバタリアニズム社会を見るであろうし、豊かに息づくローカルな文化と大変な活気、雑多な街は多くの外国人を惹きつけるものがある。しかし、膨大な中国資本が流れ込み、政治権力と経済力、そして三合会をはじめとするマフィアが一体となって牛耳る香港は、もはや皆が知る自由で雑多で活気にあふれる香港ではなく、何の輝きも持たない単なる中国の一地方都市にすぎないものとなるだろう。香港市民の決起は将来に思いをはせたときに、香港のアイデンティティをかけた当然の抵抗といえるものである。

さて、決起した学生や市民らの背景は以上のようなノリで語ってよいだろうが、実態、実績として振り返った香港はいかなるものであっただろうか。600万を超える人口を抱える香港は水資源に乏しく、水道水の8割は中国本土から供給されているから、この一点だけでも香港は中国に生命線を握られている。また、返還前から多くの香港人が移民を考え、カナダなど英連邦諸国の国籍を取得したが、彼らの多くは香港に戻ってきている。逃げ道を確保してから香港へと戻り、商売に精を出すという根っからの商売人精神で利益追求とリスクヘッジを見事に両立させているわけだが、逃げ道があるがゆえに彼らは最後まで戦うという決死の闘争を行わないだろう。

返還後の香港は中国の改革開放経済の入口として、非常に大きな役割を果たしてきた。単に外資の入口というだけに留まらず、大量の物資が流れ込んでくる入口でもあり、中国からの資本と輸出品が出ていく出口でもあった。マカオと強いつながりの中で、中国の汚職役人は香港ルートを通じて膨大な資本を海外へと逃がしてきた。緩い税制とイギリス譲りの透明な法制度から世界中の資本が安心して集まり、そして、追跡しづらいルートで様々な国へと流れていくタックスヘイブンでもあった。
 中国投資の国別内訳をみると、香港は常に圧倒的一位で全体の3分の2程度(日本からの投資の10倍くらい)を占めている。様々な国の資本が香港経由で中国に流れているだけではない。中国本土の資本がいったん海外に出た後、香港経由で中国に舞い戻ってくるルートにもなっているからである。そうして中国の発展に大きな役割を果たしてきた香港は、膨大な資本の流入から貧富の差が広がり、不動産バブルのために高い家賃、ホテル代が負担となる都市でもある。昔の日本も集合住宅の狭さが話題になったものだが、日本の住宅事情が「うさぎ小屋」ならば、香港のそれは「ハチの巣」を連想させるものである。

全体しての治安はよいと思うが、薬物の規制が甘いことでも有名である。実際、管理人がお香の強いにおいが漂う香港の安ホテルに泊まっていたとき、隣の宿泊客がジャンキーであったらしく、真夜中に「救命a~」「Help Me!」の絶叫で起こされ、リスクを承知でノコノコと様子を見に行ってみると、経営者のおばちゃんが困り果てた様子でジャンキーの女の子をなだめようとしていた。どう見ても危害を加えられている様子ではなく、管理人が北京語と英語で話しかけても会話が成立しない状態だったので放置したが、豊富とはいえないジャンキーのサンプル事例に好奇心を満足させた次第である。ちなみに、20前後の女の子で「とても」可愛かったと付け加えておこう。もったいないけど、ジャンキーでは相手のしようもないね。

 さて、では香港市民の決起は周辺諸国にとってどのような意味を持つであろうか。それは特に台湾にとって大きな意味を持つ出来事となる。つい先ごろ、台湾でも中国とのサービス貿易協定に反対する大規模なデモがあったことは記憶に新しいが、台湾人はまさに経済的に中国に取り込まれた香港の姿を見て将来の危機を感じ取ったのであり、一国二制度の名の下に併合された香港が、経済的に飲み込まれた後に、政治的な権利を否定されようとしている現在の流れは、「やはりそうなるのだ」という思いを強める事になる。

 実のところ、香港市民の民主化要求が通る可能性は皆無である。中国政府にとってそんな要求を飲むことは自殺を意味するからだ。しかし、それでも香港市民には少しでも長く粘り強く踏みとどまってもらわなければならない。それは中国政府に対して、自由主義圏への侵略と抑圧がどれほど高いコストを伴うのかを知らしめるためである。中国政府は長らく抑圧と独裁権力によって従う中国社会を相手にすることに慣れ親しんできた。彼らは「(市民的な)自由のために立ち上がる」というシナリオを実感をもって知らない。なぜなら、ほとんどの大陸の中国人にそんな感情はないからである。彼らは力と利益以外の動機で抵抗する人々を理解できないのである。香港市民はそれを見せなければならない。さもなければ、次の自由社会が同じ試練に更に厳しい環境(次は流血を避けることができないだろう)で立ち向かわなければならなくなる。恐らくそれは台湾社会であり、その次は日本である。

今回、香港市民の要求が通らないことは、イコール中国政府が勝利することを意味しないし、手こずらせるだけでも中国政府にとっては大きな失点となる。しかし、一度立ち上がったからには香港市民はできるだけ踏みとどまって抵抗してくれなければ困る。

抑圧に抵抗しない者に自由はぜいたくすぎるのである。

管理人は、山場を迎えた香港情勢を見るうえで、こうした背景や観点を念頭に置いているが、むろんこれが唯一の見方というわけではないし、多くの日本人がかかわりを持つ香港には、各人それぞれの思いもあるだろう。結果がどうであれ、香港市民にはその魂を見せてほしいと願っている。


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テーマ : 中国問題
ジャンル : 政治・経済

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