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2014年の決着と未決着


2014年もまた多くのことが起こったが、年末を前にして決着がついたことも数多くある。

ウクライナ侵攻と、ロシアの敗北
 親ロシアであったウクライナ政府の崩壊に対する報復としてロシアは直接、間接に軍事力を行使し、新しい形の侵略が始まるかに見えた。ロシアは軍事的要衝クリミア半島を占領し、黒海における軍事的プレゼンスを大きく伸長させることに成功した。しかし、軍事力を行使するだけが戦争のやり方ではない。経済制裁とロシアの持つ最大の力の一つである石油の価格暴落は、ロシアの国力に決定的ダメージを与えるまでに痛烈な打撃となっている。
 多くの識者がこれを北方領土を安値で取り戻すチャンスと述べている。私はそれには早いと思う。ロシアはそんなに簡単に領土をあきらめる国ではない。確かにチャンスは近づいてきているが、実際に取り戻すまでには、現在の経済的苦境に加えて、まだまだ次のようなステップと材料が必要であろう。

1.ソ連崩壊に匹敵するレベルでの経済体制の崩壊。ルーブルの紙屑化を目途に追い込まなければならない。
2.北方領土の返還は、単に代価が必要なだけでなく、極東ロシアへの強力な支援(中国から極東ロシアを防衛するに足る)と交換でなければ成立しないだろう。
3.もし、ロシアが決定的苦境に陥っても北方領土返還に応じない場合、日本が中国の極東ロシア進出を後押しすることを意識させる。
4.北方領土の一部、例えば択捉島の北端部を除外することで、交渉のハードルが下がる可能性がある。

1においては、日本も静観しているだけでは不十分であり、ロシアに経済的打撃を与える有効な手段を早急に用意するべきである。備蓄原油を市場に放出して更なる価格崩壊を促進したり、金融面での制裁を追加で行えないかなど、従来の手段に捕らわれない方法を検討するべきである。

2と3は1セットと考えてよく、北方領土を返還するなら味方になるが、そうでないなら中国の極東ロシア進出をバックアップするという脅迫を二者択一で突きつけることで、要求はより効果的になるだろう。

4はロシアの専門家、特に軍事に詳しい専門家の判断に任せればよいが、現在のロシアの極東防衛戦略において、北方領土の一部が不可欠な位置づけを与えられている場合、その代替案がなければ、その部分だけは後日、応相談という形にすることでスムーズに合意が成立する可能性がある。

台湾の転機、香港の終わり
 台湾の統一地方選挙は与党国民党の壊滅的敗北に終わり、国民党の大陸への急速な接近が不可能となった。急速な独立路線にもすでにNOが突き付けられた台湾政治においては、事実上の独立路線を保ったままで中国との経済的関係を損なってもいけないという高度なバランス感覚を持つ政府が求められることとなった。中国にとっても、台湾経済の中国依存につけ込んで、国民党と進めてきた一国二制度の戦略は明確に破たんし、方針を練り直さなければならなくなった。
 
 一方、香港ではOccupy Centralが終結し、普通選挙の導入は完全に拒否された。香港の学生は想像以上に健闘した。事態に進展がない中で長期間、運動を維持するのは大変なことである。彼らは戦術上のミスをしたから要求を通すことに失敗したわけではなく、最初からまったく勝ち目がない勝負に打って出たのである。リバタリアンはむろんのこと、他の自由主義者も闘争の相手は、しばしば政府など権力者をはじめとする抑圧者であるから、ハンディキャップマッチは当たり前であり、それでも抵抗し続ける姿勢、戦う姿勢が求められる。香港の学生の粘り強い抵抗は一つの手本となるだろう。
 とはいうものの、これで香港の自由は失われたことも確かである。一度、一国二制度の支配下に入ってしまえば、後は事前の取り決めや約束など何の意味もなさない実例として語り継がなければならない。

中国政治の転機と中国経済の見通し
 鄧小平レジームの終了という大きな転機を迎えた中国、しかし、その先に打開策があるわけでもなく、ただでさえ限定的だった自由はさらに縮小され、ネットの制限は強まり、ウイグル系を主敵とした宗教弾圧、言論弾圧も激化している。経済の失速は政府の支援をもってしても覆い隠せない状況にある。来年は特に不動産だけでなく、鉄鋼産業の波乱が予想される。鉄鋼の過剰生産は以前からもよく知られていたが、在庫圧力を逃れるために海外へと捨て値で販売する動きが目立っている。来年はこれがダンピングとして各国から指弾されると予想され、中国の鉄鋼産業は大変な困難に直面するだろう。

今年もあと10日で終わりだが、このブログの方針を来年からは少し変更しようと思う。
中国や関係国以外のトピックは、気になるトピックも多くの場合はあえて避けてきたが、今後は取り上げて記事にしようと思う。あとは更新ペースを上げられるといいのだけど、こればかりは何とも。時間の都合次第ということで。

では、緊急のニュースでも入らない限りは、一足早くよいお年を。
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総選挙、どうしたものか。

投票日まで一週間を切ったが、まだ投票用紙来ないんだよな。
非常に盛り上がらない選挙であるが、投票行動は面白いかどうかで決めるものでもない。いつぞやの選挙の時にも述べたが、選挙は勝ち負けの予想をする競馬ではないし、人気投票でもない。議席数を配分する戦略的行動である。

ここ数年、管理人は「我慢の選挙」のような投票行動を取り続けているが、今回もそうなりそうだ。今の情勢ならリバタリアン党ができたら一定の議席は取れると思うのだけども、どなたか作りませんか。

今回の選挙で管理人が思うのは、自民には勝ってほしいが単独3分の2は行き過ぎ。かといって入れたい野党は皆無。困ったけれど、引き続き政治家は育てないといけないし、リセットかけても仕方がないので、とりあえず新人は逸材でもない限りは除外。年寄りも除外。特に自民の年寄りは(今回は当選確率非常に高そうだけど)外したい。40代以下の議員経験者で、民主や社民、共産は論外という感じ。

とはいっても、自分のところの小選挙区は自民一強で揺るがない感じなので、小選挙区はやる前から確定で、年代がどうとか考えても意味をなさない。比例代表の一票だけが考慮に値することになる。まず、自民単独2/3の観測が出ているので自民はない。民主、社民、共産も検討しないので、維新と次世代の二択。といっても、管理人は石原と田母神を非常にマイナス評価しているので次世代もない。石原の老害が維新から外れているのは、以前よりもプラス材料というわけで維新に一票とする。うん、実に退屈な消極的選択だw

GDP改定値が更にマイナス修正されたのは意外だったが、特に投票行動に修正はなかった。もし、自民の議席が低下するようだったら自民に切り替えたけどね。

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tag : リバタリアン リバタリアニズム 日本の政治

習王朝の成立(弱そう)

総選挙ネタの前に中国で特筆すべき動きがあったので先にそちらを。
周永康が党を除籍され逮捕、訴追された。だらだらと続いてきた周永康事件もこれでほぼ決着である。
しかし、要点はそこではない。この決着は、毛沢東王朝、鄧小平王朝に次ぐ、共産党第三王朝、習王朝の成立を意味しているのである。

毛沢東王朝は毛という圧倒的なカリスマを持つ皇帝が頂点に立ち、政治的ヒステリーに全てが支配された全体主義体制であった。毛王朝は強力な後継者の不在、事実上の経済破綻により毛沢東を失った直後に崩壊した。

そして、第二王朝を打ち立てたのが毛とは対照的に実利を重視する鄧小平であった。彼は党内の政治的矛盾を解消し、経済発展、改革開放というまったく新しい方向を指し示した。彼がソ連のゴルバチョフと異なったのは、政治的自由を認めなかったことだ。全体主義体制は崩壊したが、それが民主主義体制の確立に向かったわけでもなければ、国家体制の崩壊につながったわけでもない。政治の変革要求を経済発展で代替し、社会の目を経済に集中させる。過去の台湾や韓国で見られた「開発独裁体制」の確立である。

毛王朝の全体主義体制への反動、中国人の原理的な実利・現実主義とのマッチングから、開発独裁体制は非常によく機能した。1980年代からはじまり、天安門事件後の数年間を除いて2010年ごろまでの30年間というもの、中国人の生活水準は劇的に向上した。しかし、権力の乱用、特権の行使を背景として広がる格差、腐敗の際限ない拡大、拝金主義があらゆる思想、道徳、伝統、宗教を食い荒らしたことで目先の利権追及それ自体を人生の目的とする、何の魂も持たない、「意思を持つ個としての人間」、「社会を構成する市民」とはとても呼べない中国人が量産されるに至った。

空っぽの心は金銭と他者への見栄で一時しのぎの満足感をむさぼり、法輪功のような「できの悪い」宗教に簡単に釣られてしまったが、共産党はそれすらも許すことはなく、天安門事件を契機に始まっていた、できの悪い宗教よりも更にできの悪い「ジャンクフードのようなナショナリズム」を社会に蔓延させた。荒れに荒れた中国の社会は転んだ老人に手を差し伸べる善意の個人を「カモ」として食い物にし、車にはねられた子供を後続車があえて避けもせずに上を乗り越えていくほどの「ルール・オブ・ジャングル」に支配された。これがつい先日までの第二王朝のなれの果てである。

では、なぜその王朝が終わるといえるのか。以前にも言及したが、鄧小平は新体制を構築する中でいくつかのタブーを設定した。中央常任委員会のメンバー(元メンバー含む)は、アンタッチャブルであるというのもそれである。党内の政治闘争にリソースを浪費しないための掟であるが、周永康の打倒。それも党籍の剥奪はこのタブーを正面から踏みにじっている。「党籍の剥奪」には特別な重みがある。単に罰するペナルティを課すということではなく、「敵として認定」する意味を持っているのである。例えば今後周永康は基本的人権を簡単に踏みにじられ、党の審査官や下っ端の牢番に意味もなく蹴り飛ばされたり拷問にかけられることもあるかもしれない。党籍の剥奪は単なる刑事訴追以上の意味を持つのである。

そのハードルを越えた習近平は、もはや鄧小平以来のレジームを踏襲する気がないと考えてよく、新たなレジームの構築、習近平王朝の成立を目指しているといってよいのである。ここで大きな二つの疑問が持ち上がる。

1.旧体制の重鎮たちはなぜ新体制を容認したのか
 端的にいって江沢民派閥、上海閥のことである。過去記事でも指摘してきたが「習近平がやっていることも妙だが、上海閥のカウンターがないことの方がもっとおかし」かったのだ。起きるべきことが起きていなかったのである。その疑問は周永康事件の決着によって、ひとつの結論を出せるかと思う。それは、「上海閥」はすでになくなっているということである。恐らく習近平の総書記人事のやり取りのあたりから進んでいたのであろうし、曽慶紅の動きが強く影響しているのだろうが、はっきりといつからということもなく、上海閥は自然に分解していたのである。

言い方を変えれば、習近平が強かったから過去のレジームを倒したというより、過去のレジームはすでに機能不全に陥り、惰性で動いていたに過ぎなかったといえるだろう。

2.新体制の性質はどのようなものか
 反腐敗を掲げて旧体制の重鎮たちを始末してきた習近平だが、その先に何を見ているだろうか。反腐敗それ自体を目的とする清教徒的なナイーブさに取りつかれているということはあり得ないから、他の点に注目しなくてはならない。管理人が注目してきたのは、習体制が言論の自由やインターネットを第二王朝よりも毛嫌いしており、対外関係において視野が狭いという点である。Googleへのアクセス制限、各種SNSへの排他的政策、ウイグルに代表される少数民族の言論抑圧、外交面における対話能力の欠如。これらは習体制が前レジームよりも閉鎖的な性質を持つ明白な傍証である。

 習政権の政策は「○○をするな」「××を禁止せよ」という指示に偏っており、「▲▲を目指せ」とか「□□を達成せよ」という新たな目標設定が非常に少ない。前体制のやり方を否定はしても、新しい形を構想することができているわけではないのである。このことは変に難しく考える必要はなく、シンプルな原因を指摘するだけで十分である。習近平政権の「脳筋」ぶりを以前の記事で指摘したが、それは現代中国指導層の一般的な性質である。つまり、今までの中国の体制の中で生き抜いてきた習近平も、やはり魂を持たない人間だからである。文革で下放され、地方役人を並レベルの成績で勤め上げ、親の人脈で抜擢され、最終的に党総書記にまで選出された習には、そもそも新しい構想などないのである。

その一方で様々な禁止政策ばかりを打ち出し、香港のデモに対しては他国の陰謀程度にしか認識しない習の視野の狭さは特筆すべきである。彼はネットで伝わる新しい情報や価値観、利権がもたらす腐敗などを「安定を乱す雑音」と認識しており、新しい局面の登場、新たな時代への適応が必要とは認識していないであろう。習の願望は「黙っていろ、余計なことはするな、面倒を起こすな」という保守的で硬直したものであり、新構想をもって社会を安定、復活させるのではなく、単に社会を窒息させるような政策を取ることになる。

 中国の社会にとってはさして明るいニュースではないが、体制を確立しつつある習近平政権は今後安定志向に回帰する可能性が十分に期待できることから、周辺諸国にとっては悪くない方向性であるように思う。権力を確立した習政権が安定志向(平和主義というよりは面倒事を嫌がるという程度の意味だが)であるかどうかをテストするため、今後、数か月の間、日本を含む周辺諸国は挑発的な政策を取るべきではないと考える。

    

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tag : チャイナリスク 中国政治 中国社会

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