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中国バブルの実態と勘違い(後半)

時間があるうちにササッと書いてしまおう。
後半では実体経済と表裏一体の関係にある中国バブルと、
もう少し深い先のことを考えてみよう。

結論から言うと、中国でバブルを生みだしている元凶は中国政府による為替操作である。
このブログの読者層は、この流れを理解していると思うのだが一応おさらいしておくと、
貿易黒字によって大量に流れ込んでくるドルを国内に還元すると元高になる。
元を対ドルで安く保つために、元を印刷しまくって元の価値を落とす。
印刷しまくって供給過剰になった元は市中にあふれる。
市中の元はインフレ、物価高を呼び、またバブルの投機資金となる。

ここで中国バブルに多くみられる勘違いを挙げよう。
・どう見てもバブルなのにマンションや株式投資とは愚かなw
・渦中にいる人はバブルだと分からないものなんだよねw
実はこの考え方は、今の中国に関しては両方とも間違っている。
一見、常識的な意見のようだが間違っている。大事な事なので2回(ry
08年の株式バブル崩壊までは私もそう思っていたし、中国人も自覚がなかっただろう。
しかし、自分が中国人であったなら、海外での資産運用という選択肢を持たない立場だったら、
それ以降のバブルには乗らざるを得ないと判断しただろう。
そして、中国人の一部(賢い層、情強)はバブルであることを自覚した上で投資をしている。

理由は簡単でバブルがインフレ(通貨価値の下落)を背景としている以上、
現金や預金は保存可能な資産とは見なせないからである。
放っておくだけで現金の価値は下落するのだから、金、不動産、株などに変えざるを得ないのである。
言いかえれば、バブルをバブルであると知っていても乗らない選択は無い。
「これがバブルだと知らずに馬鹿だなあ」と思っている人は間違っている。逆である。
中国バブルでは、バブルと知ったら迷いなく投資に踏み切るしかない。
後はいつ売り逃げるかだけの問題である。

マンションなど不動産に投資するのも、今の中国ではやむを得ない所がある。
しかし、不動産は資産としては流動性が低く、簡単に現金化できるものではない。
しかも、政府が投機を抑制するために購入後3年以内の売却には多額の税を課している。
資産保全のためには不動産投資もやむを得ないが、逃げ足の速さが決定的な意味を持つバブル環境では、
この足の遅さは致命的である。それが不動産投資は評価できない理由だ。
バブルなのに投資するのが愚かなのではなく、バブル期に足の遅い資産を買うのが愚かなのだ。
バブル期に投資しないのもやはり愚かだ。それはローリスクノーリターンだ。
今のインフレペースでは、ミドルリスクノーリターンかもしれない。

つまり、中国人はバブルと知らずに投資しているのではなく、
現在の中国では、強制参加のチキンゲームが開催されているとイメージして欲しい。
こうなってしまうと、もう賢くても愚かでも意味が無い気がする。
知性ではなく度胸と勘が支配する世界だ。
不参加を選ぶには、利子がつかない死に資産であるGoldを買うしか無い。

最近のメディアで注目されている高利貸し、個人金貸しの大量氾濫も同じ背景だ。
株バブルはすでに崩壊、不動産も高過ぎで流動性もガタ落ちし、もう投資先が無いのである。
それでも元安を維持するために元は印刷され、ますます市中に溢れてくる。
手持ちの現金預金は価値を失っていく。(中国の預金金利はインフレ率に対して非常に低い)
ではどうする?坐して資産の下落を待つか、ハイリスクでも投資をするか。
結局、多くの人は銀行預金を引き出し、ハイリスクでも高利貸しになって貸し付ける事を選んだ。
そして、ハイリスクハイリターンである高利貸しは貸し倒れが始まり、
メディアに大きく取り上げられているのである。
高利貸しで借りる側の事情は前半で述べた通り政府の金融引き締めである。
むろん、一方で金余りの現在でも投資資金を持てるのはトップ数%だけである。
多くを占める貧困層は、そもそも失う資産を大して持っていない。

元の大量印刷によるインフレ。
バブルも高利貸しもこの環境が形を変えて出てきているだけで同じ現象である。
中国政府の金融政策の影響で、中国ではバブル経済にとどまらず実体経済にも深刻な影響が出ている。
私の関心は政治体制や社会秩序の変化(比較政治学の観点ね)なので、
中国経済の中核であり、雇用を握る中小製造業の先行きを特に注視しているが、
現状のハードルは非常に高いと言わざるを得ない。08年の危機よりも遥かに深刻だ。
今年はMADE IN CHINA最後の年。来年は失業地獄の年となるのだろうか。
胡錦濤政権が逃げ切った後、次代の政権は最初からムリゲーに挑む事になるか。
そうするとリアルタイムで政治体制変動を観察する機会が得られるが。

ところで自分はマクロ、ミクロともに経済学をやったことがない人間だ。
経済の解釈については、かなり我流であると断わっておく。
そういう人間から見ての話だが、市場やマネーの流れとは自然現象に等しいものだ。
一部を操作すると、それに対して自動で反応がおこり新しい環境変化が起こる。
どこかで無理をすれば、ひずみは必ず別のところから現れて調整が入る。
経済を人工物で人間の手中にある物と考えるべきではないと思う。
洪水に備えて堤防を作ったり、干ばつに備えて貯水池を作る事はできる。
しかし、雨の量を自在に調整することができるわけではないし、
需要やマネーの流れを政府が人為的に作ろうとすれば、市場は自動的に反発するのだ。
自由な為替市場という大河を人為的にぶった切った中国共産党。
川の流れをせき止めれば流れる水が行き場を求めて荒れ狂うように、
中国マネーもその行き先を探して荒れ狂っている。

働けば働くほど苦しくなっていくように見える中国経済。
安定しているが、人々の主観的幸福感が低い日本経済。
これらを見ていて経済が難しいと思えるのは「経済に正解はない」からである。
万人が納得する目標というのは存在しないのだから、目標の設定は困難だ。
目標が設定できない限り、「正しい経済政策」も存在しえない。
目的合理性は主張できても、その目的が正しいかどうかは別問題である
そういう所も自然環境によく似ている。
降水量が多いのが正しいとか、日照量が多いのが正しいなどとは言えない。
各人、各産業によってその答えは異なり、そこに利害関係以外の基準はない。
円高が良い、円安が良い、インフレが良い、デフレが良い、・・・
これも結局同じことで、「良い(悪い)」とは利害関係の反映にすぎない。
中国政府が「良い環境」と決めたのは体制安定の観点
(これもむろん共産党の主観的利益)から、「低失業社会」である。
その手段として「元安政策」が取られている。
同時にこれは「ワーキングプア社会」である。高賃金は高失業を意味する。

特定の環境を「よい環境」と決めつけ、それに固執していると環境変化と共に淘汰される。
降水量が多いうちは水田をやり、時代が変わって雨が減れば麦畑に切り替える。
サバイバル能力とはその切り替えと適応ができるかどうかの能力であって、
政府やお天道様に「雨が足りない!!」と文句を言ってどうなるものでもない。
起業家や事業者は、そのことを常識としてわきまえているべきであって、
彼らに雇用される従業員も環境は変化するものだと理解しなければならない。
正社員なら安定するなどと考えていたら大間違いである。
肩書きが何であれ不要なものは不要である。
どれほどのベテランでも乾燥地帯に稲作の専門家は不要である。
それは経営者が意地悪なのではない。彼が環境に適応できなかったのだ。
ちなみに変化に対応するよりは、自分から変化を作りに行く方が楽である。

さて、中国、中国人、そして中国共産党の環境適応能力はいかほどのものだろうか。
私には頭の固さが目につくように思うのだが・・・?

    



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テーマ : 中国
ジャンル : 海外情報

tag : 中国バブル 中国の内需 チャイナリスク 中国のインフレ

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長文失礼します。

こんばんは。
前編、後編を読ませていただきました。

中国経済が果たしてバブルか日本の高度経済成長期と同じなのか(低インフレ、高経済成長、社会資本の蓄積)常々考えてきましたが、回答はどうあれ着地点はハードランディングになりそうですね。(今後の高失業率、スタグフレーションの可能性大の点で)私は学生時代に日本のバブル経済の分析をかじってきたことから、中国のバブルと呼ばれるものにも興味津々で追っかけてきたのですが、中国人の特性を踏まえた上で、かつて日本でも現在進行形で欧米でも起こっている類いの信用収縮の連鎖はありうるものでしょうか?仮にあるとしたらそのトリガーとなるもの(コール市場でのデフォルト<日本>サブプライムショック<欧米>)は何が考えられるでしょうか?

No title

確かに、今の経済がバブルかどうかにかかわりなく、
中国社会が高失業から来る社会不安に悩まされるのは確定的と思われます。先回りして言っておくと、それにもかかわらず独裁体制は崩れそうにありませんね。あくまでも社会が今以上に殺伐としていくだけです。
やはり社会資本の蓄積がおろそかになりすぎたために、
GDPというフローが膨らんでも、庶民の生活には反映されなかったようです。

信用収縮の直接的な答えとなるか分かりませんが、
高利貸しを含む民間投資が、この先ハイリスクに耐えかねて金や
政府債(中国では権力は最も確かな基準となり得る)に流れる可能性はあると思います。

一方で中国人らしい反応を期待するなら、高利貸しがリスクに見合わないなら「超高利貸し」になればいい、と考える人もいそうです。
結局、資本の逃避先が(ほとんど)無いわけですから。

トリガーについてですが、これは予測できるものではないと考えます。
高利貸しの連鎖破たんが地下金融を巻き込んだ場合、土地利権低下に端を発する銀行の不良債権問題の表面化など、いくつかメジャーな候補はあるわけですが、私はトリガーを純粋に市場心理的な物と解釈しているので、偶然発生したただの無責任なうわさ話ですら、結果的にトリガーとなってしまうことはあると思います。だからチキンゲームなのでしょう。
どこで降りるかは分析の結果ではなく、勘で決めるしかないというルールで動いていると思います。

No title

中国国内のリソース分配が腐敗や政府の操作、それによるバブルのせいで歪になっている
(権力者や投機物件に過剰に配分されてる)
の誰が見ても明らかですが、
中国経済がいつどのような程度で変調するかを予想するのは難しい。
ま、外国人として、経済成長と外国資本流入の鈍化を、政府支出でどれだけ糊塗できるものなのか
を見物していきたいです
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