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台湾政治の旅

 台湾の政治について、どういう目線で書こうかと迷ったが、最近は台湾旅行に行く人も多いので、
ちょっと変わった観光コースという形で紹介してみようと思う。
 
 まずは、比較的よく知られたツアーに「総統府見学」がある。現役の総統府(大統領府)を簡単に見学できるというお勧めコースだ。事前予約もいらず、料金も無料である。平日の午前中に総統府向かって右奥の裏口に行けば、ガイドが案内してくれる。日本語対応のガイドもいるので、語学力の心配はしなくていいだろう。パスポートはお忘れなく。

sotofu01.jpg

 総統府の中に入れるだけでも行く価値はあるが、内部の展示や説明もなかなか興味深いものが多く、例えば江戸時代、武士の鎧に使われていた鹿革は、台湾からの輸入品であったとか、総統府が日本統治時代に総督府であった頃のエピソード、陳水扁前総統が着ていたスーツは、特殊な防弾繊維の生地で作られていたとか、台湾の一部原住民の話す言葉がフィリピンのとあるエスニックグループの言語と一致したなど、意外と知られていない話を色々と聞くことができる。台湾の基礎知識を一通り持った上で訪問すると、一層楽しめるだろう。


 総統府の向かいにある「二二八和平公園」にも、ぜひ訪れて欲しい。
この名前を聞いて、何の公園なのか分かった人は台湾の政治に一定の知識を持っているといえる。
逆に何のことか見当もつかないという人は、台湾の戦後史の知識が皆無といえ、台湾人が中国に抱く感情も、日本に抱く感情もよくわからないだろう。

228park.jpg


 この公園は「二二八事件」の真相を公開し和解を記念するために作られた。公園内には事件の博物館もある。
二二八事件とは、日本の敗戦後、国民党が中国から進駐してきた頃、台湾人(本省人)と大陸からのニューカマー(外省人)の間に決定的な溝を作ってしまった事件であり、台湾人が国民党による抑圧的な支配に苦しめられる暗黒時代の始まりでもあった。

 事件の細かい経緯はここで書かなくとも広く出回っているが、簡単に要約しておくと国民党の統治への不満を爆発させた台湾人に対し、国民党は武力弾圧を持って臨み、その犠牲者は1万8000人とも2万8000人ともいわれている。また、当時の国民党は台湾人の知識人を狙い撃ちすることで、その抵抗力を奪った。

 数十年後、台湾人は台湾を自らの手に取り戻し民主化を達成するが、それまでこの事件は公式には認められていなかった。そうした施設が、総統府の目の前にあるという事実は重い。ここまで来るために台湾人が多くの犠牲を払った事を知らないと、彼らを理解するのは難しい。人懐っこい、南国特有ののんびりした明るさだけが台湾の全てではない。台湾旅行の常連さんは多いだろうが、たまにはこうした場所へ足を運んでみるのも興味深いものだろう。台湾人が手にした自由の重さを知ったとき、彼らは日本にとって単に仲の良い友人であるだけでなく、尊敬すべきパートナーとなり得ることをきっと分かってもらえると思う。

   
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テーマ : 政治・時事問題
ジャンル : 政治・経済

tag : 台湾の民主化

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No title

ねこさんこんにちは。

二.二八広場の資料館には行ったことがあります。ただ二.二八事件関連の展示を見るだけでは汲み取れなかったです。高雄も四半世紀前に民主化デモの嵐があったとは思えないほど今は街全体が落ち着いてしまっていて戒厳令下の雰囲気はもはや感じられない旅でした。ねこさんに質問がありますが、以前台湾の民主化に至る功績は李登輝氏と同じくらい蒋経国にもあると言われたのですが当時の台湾人にとって彼は恐ろしい独裁者、有能な為政者どちらに取られていたのでしょうか?

No title

こんにちは。

更新お疲れ様です!
自分は2,28事件については本の知識で知っていましたが、事件そのものについての情報だけで、その平和記念公園が総統府の向かい側という公の場所にあるとは知りませんでした。

やはり現地に行ってみないとその国の雰囲気というのはわからないものですね。

ねこさんのように現地の情報を伝えてくれる人はありがたいです。

よくネットで台湾はいわゆる「親日」ということで別格扱いされていますが、個人的に台湾人の本当に尊敬するべきところは、あのような地政学的に不安定な場所で、様々な勢力の思惑があったにせよ、自分たちの手によって民主化を達成し、外交・経済などを含めた「国防」を行い、事実上「独立国」を維持し続けていることだと思います。

ねこさんのおっしゃるとおり、長い年月をかけて、多くの血を流してようやく手に入れた「自由」というのは我々日本人にとっても、ものすごく考えさせられる深いテーマだと思います。

また長文のコメントで失礼しました。

今回も勉強になりました。
ありがとうございますm(__)m

大陸で流行っている鳥インフルエンザにはどうかお気をつけて!

No title

>hiroさん
 館外にある二二八事件の犠牲者リストなどは、自分にとってはかなりプレッシャーを感じるものでした。
ここから台湾人の戦いが始まったのだなとしみじみと思いましたよ。

 蒋経国への評価は、アンケートを取って回ったわけではないのですが、大きく二分されていると考えています。ひとつは知識人層の評価であり、ひとつは大衆層の評価です。これは政治面と経済面での評価と重なるようです。知識人層にとっては、蒋経国は憎むべき独裁者であり、一部の知識人や民主運動家は、彼のアンサツすら画策していましたし、晩年の議会でのヤジなどを見ても、彼は憎悪と非難の対象でした。

 大衆層にとっては人気ある指導者だったといえるでしょう。今でもそうです。
蒋経国は民衆に直接接してのパフォーマンスにも長けていましたから、大衆レベルでは怖がられていなかったようです。彼が若い頃に特務機関を率いていたことなど、一般大衆は知らなかったでしょう。経済発展への貢献度を昔も今も称えられており、高く評価されています。

>なぐもさん
 自分の指導教授は民主運動側で活動していた台湾系の人でしたから、彼らがどれほど苦労していたか、色々な話を聞いています。長い年月を経て、ついに総統府に辿り着き、その目の前にこの記念公園や自由で民主的な社会の重要性を刻んだ石碑を設けるに至った成果を目の当たりにし、「とうとうここまでやり遂げたのだな」と感動しました。まさに尊敬すべき国ですよ。台湾は。
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