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天安門での自爆とウイグル

数日前、帰宅中にニュースサイトを開くと「天安門に車が突入し爆発!」というニュースがいきなり目に飛び込んできて電車内で吹いた。直感的には国内の不満分子の暴発と思え、着々と「北斗の拳化」が進んでるなあという印象。実際、上海市内を含む中国各地で不満が爆発した住民が警察所などに自爆特攻をかけるというニュースはたまにあるので、そのランクアップ・バージョンなのかと思ったのである。

今回はそういうものではなく民族紛争が背景らしいので、とりあえずウイグル問題の簡単な復習から。
ウイグル族と呼ばれているトルコ系のムスリムは、大昔から中国と付いたり離れたりしている。彼らの呼び名では中国の北西部辺境地帯は「東トルキスタン」であり、独立国家として存在した事もある。今後も長いスパンで見れば中国から独立する時期もあるだろう。

同地域は清朝の時代に征服され「新疆」の名で呼ばれた。今でも漢族は東トルキスタンを「新疆」と呼んでいる。「新疆」とは、「新しい辺境地帯」を意味する言葉だ。近代以前の中国には「国境線」という概念がない。領土は征服したりされたりするものであり、一定の範囲を線できちんと区切るというイメージを持たないのである。「新疆」は明確な領土というより、一応支配はしているけれども「緩衝地帯」のようなイメージでとらえられていた。

さて、中華人民共和国が建国されると、「新疆」は征服後のチベット同様に事実上の植民地となり、過剰な人口を抱える漢族の大量入植が行われた。しかし、漢族はウイグル族と相性が悪すぎた。何か政治的な衝突があったからというよりは、彼らは本質的に相容れない性格のようであり、「互いに生理的嫌悪感」を感じて衝突を繰り返しているのである。
ウイグル系の人々は漢族を「中国人」と呼び、自分たちが中国国民であるという意識はほとんど持っていない。一方で漢族の側では、ウイグル系を野獣や未開人とほぼ同一視しているから、100年余りも同一政府の統治下にあったにもかかわらず、彼らの歩み寄りはほとんど進んでいない。

互いにこうした認識であるから、漢族とウイグル系の衝突は頻繁というより日常的であり、かつ激化しやすい。
漢族の武装警察隊は、情勢が荒れるとウイグルの一般民衆(別に武装しているわけではなくても)に平然と「水平射撃(殺す気で撃つってこと)」を行っているし、ウイグルの独立組織の側では漢族の警官隊を攻撃することは「レジスタンス活動」であり、「聖戦」でもある。
 話し合いがうまくいかなかったら時々殴り合いになるというレベルでは全くない。ここ数年間というもの同地域の都市部には武装警察が大量に常駐し、外国人のカメラが向く方向などにピリピリしている状況が続いている。管理人も常々この地域には行っておかなくてはならないと思ってきたのだが、過酷な気候と情勢の悪化に二の足を踏んできたが、やはり中国で相当な無理をしてでも行っておくべきだったと後悔している唯一の地域である。もう難しいかなあ。

 ウイグル族VS漢族という民族紛争は何も目新しいものではなく、社会不安が増大する中国で本拠地である北京のガードが甘かったという意外なまでの杜撰さと無能さ、あるいはウイグル系抵抗勢力の有能さはやや注目に値するものであるかもしれない。
 では、今回の自爆攻撃について、注目に値する点があるとしたら、「家族での自爆」だったらしいという点である。ウイグル系が対漢族、対中国の攻撃を仕掛けることには何の驚きもない。天安門まで侵入に成功したという点では驚くに値するが、それは中国政府の警備体制の甘さが露呈されたこと以上の意味はないように思う。
 自爆攻撃は中東や中央アジア、内戦終結前のスリランカ北部などでムスリムがよく用いていた手法であるが、家族ぐるみで自爆という話は聞いたことがないし、通常の自爆攻撃の論理やトレーニングプログラム(実際に自爆攻撃要員を育成するマニュアルやノウハウは確立されている)からは大きく外れたものである。これは単発のイレギュラーなのか、それとも中国国内のムスリムの間では、イスラム系のテロリズムに新しい潮流が生まれているのだろうか、その点はよく見ておかなければならないと思う。

 今回の攻撃を受けて、中国政府はウイグル弾圧を強化するだろう。このことに疑問の余地はない。
当然のことだが、こうした小さな反乱が戦略レベルでの勝利を生む可能性は皆無である。しかし、小さな反乱であっても、今回のような攻撃の成功(クリティカルヒットといってよいであろう)は「統治コスト」の増大を招く。弾圧するにもコストはかかるし、警備を強化するにもコストはかかる。そうした全く非生産的な事にコストをつぎ込むことで、社会は疲弊し統治能力は低下していく。それが更なる反乱を呼び・・・
このような気の長い盲目的な連鎖効果を狙う戦略は「累積戦略」と呼ばれるが、中国の将来像とはまさに盲目的な累積戦略によってアナーキー化していくだろうと思う。砂の城が風や雨に浸食されていく事をイメージすればよいかもしれない。



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テーマ : 中国問題
ジャンル : 政治・経済

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No title

党の自作自演だとして、中共はウイグル族を煙たく思っているのですかね。
もしくは、全然別な勢力もしくは単独の犯行で、ウイグル族は適当に罪を着せられただけなのか。
俺自身は全く詳しくないですが、こういう記事もありました。
http://snn.getnews.jp/archives/190968

No title

共産党はウイグルを敵視していますよ。
習近平もトップに立つ前にウイグル弾圧やらされてるくらいだから。

自作自演はあまり考えられないです。まず場所が天安門というのがあり得ない。
天安門は中南海の目の前ですから、政府の弱さの暴露にしかならないからです。
自作自演なら空港とか繁華街でやるはずですよ。
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