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台湾の混迷

仕事とプライベートの両方が忙しく、ネタがあっても書く時間がない日々を送ってます。
とりあえず、喫緊の重要なトピックだけはお伝えしておきます。

知っている人もいるでしょうが、数日前から台湾の内政が深刻な混乱をご迎えています。
支持率1割を切って久しい馬英九政権が、中国とのサービス貿易協定のGOサインを強行したことに対して、
台湾の大学生らが危機感を持ち、国会議事堂を実力で占拠してしまったのです。

中国とのサービス貿易協定にどういう問題があるかというと、中国から台湾への企業進出、それに伴う中国人の移住および、(ビザ更新による事実上の)永住を容易にするという内容が含まれているのです。
この内容からすると、現政権は台湾が中国に乗っ取られるのを許容しているとしか見えないですね。

加えて、これが片務的な内容であること。上記の見返りに台湾から中国への投資機会が拡大されるというわけではなく、
台湾からの投資は従来通りの規制の枠を超えることはありません。これでは、台湾市場を中国に一方的に明け渡すことになってしまいます。

更に馬政権は、この重要な内容を十分な審議をすることなしに、というか、完全に不意打ちで可決してしまいました。
つまり、彼らは無能であるというよりは確信犯的に中国にすり寄っているのです。

これらの背景からすると、学生らが切れて強行手段を取るのも無理はないように思います。馬政権は、台湾を売りとばしたといってもよいでしょう。むしろ、学生らが台湾を守ろうという意識を強く持っていることがはっきり示されたのは歓迎されるべきことです。


しかし、同時に今後の台湾政局について見通しが暗くなることも避けられないでしょうし、今後の世界情勢についても新たな課題が持ち上がってきたことにも気づかなければならないでしょう。

馬英九総統は、台湾では非常に嫌われており、「中国の犬」だのなんだのと害虫のごとく罵られています。
しかし、彼は台湾人の民主的な選挙によって選ばれた指導者なのです。たとえ嫌々の選択であったとしても、彼の政治的正当性に疑問はありません。

国民党のライバルたる民進党が、日本でいえば民主党レベルの使えない連中と見なされ(民主化のキープレーヤーであった彼らは、政権党としては有能とはいえず、更に腐敗もしていたのは、台湾政局混迷の最大要因といえるでしょう)、代替案がない状態での政権否定は、今後、台湾をどのような人々が率いていけばよいのかという問いを突きつけるでしょう。そして、その問いに答えられる人材は台湾にはいないのではないでしょうか? (少なくとも今の時点では)

現在の混乱が長期化の様相を見せ始めていることから、馬政権の先行きは非常にシビアな展開が予想されます。
これで彼らは倒れるかもしれません。国民の支持を失った彼が倒れるのはいいとしても、そして再選挙となったときに、きちんと機能する新政権を国民が選ぶことができるのでしょうか。それは非常に疑問です。結局、台湾は財界、権力者層のエゴ(個人的な利益を大局に優先させる傾向、はっきり言えば売国傾向)と、その複雑なアイデンティティゆえに、内部が統合されず、中国の圧力、脅威に対抗するだけのしっかりとした基盤を持てないのではないかと懸念されます。

さて、台湾が混乱し政権が機能しなくなると、中国が軍事的奇襲攻撃をかけてくる可能性を警戒しなくてはなりません。
今回に関しては、領空侵犯、領海侵犯などの「ちょっかい」は十分に予想されますが、これは危機に際して台湾の防衛体制が機能するかどうかをチェックしているわけですね。機能しないなら、奇襲攻撃も有りというわけですが、今回の混乱は突発的に起きたケースであって、中国の陰謀などによって引き起こされたものではありませんから、中国側としても準備不足は否めません。また、島国である台湾への侵攻作戦は現在の中国軍の能力を大きく超えるものですから、あまり
可能性は高くないでしょう。ただし、台湾軍は中国の「ちょっかい」に対して、防衛体制や指揮系統は混乱していないことをはっきり見せなければなりません。


では、世界情勢の新たな課題について。ウクライナと台湾の事例には似ているところがあります。
ヤヌコビッチ前大統領もまた、馬と同様にライバルの失政により、不人気ながらも民主的な選挙によって選ばれた指導者でした。そして、西部ウクライナは親ヨーロッパ、東部ウクライナは親ロシアという彼らのアイデンティティを分断する構造も存在しています。

つまり、親自由主義(A)側、親権威主義(B)側が対立する構造があり、Aの無能さゆえにBがいやいや選択され、選択されたBがここぞとばかりに無茶な政策を通そうとし、A支持層が強行手段でBを排除するという図式です。
日本人には、硬直した自民が人気を失い、代わりに出てきた民主党が基地外そのものであり、危うく国家が滅ぼされるところであったのを考えれば分かりやすいかと思います。日本では民主の排除が比較的早期になされましたが、あと数年間、民主政権が続いていたら、彼らへの実力行使がなされていた可能性は高かったと思います。
幸い日本では政治の立て直しが急速に進んでおり、一抜けを宣言しても良いように思います。逆説的ながら、中国や韓国の「おかげ」といってよいかもしれません。

オバマの無能さにウンザリしているアメリカでも同様ですが、今の世界では民主的方法によって指導者を選ぶことができないほど内政が疲弊している、あるいは混乱している民主国家が先進国レベルですらも見られるようになったということに注目するべきだと考えます。その背景はきちんと研究してみるべきでしょうが、ウクライナや台湾と同様の状況に置かれている国家は、実はウジャウジャあるのではないかと疑うべきです。ウクライナ、台湾という個別事例が示しているのは、大変な混乱期の前触れなのではないでしょうか。




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No title

今回の馬政権について気になった事は「どんな公約を掲げていたか」
そして内容いかんによっては国民を騙していたということにならないでしょうか
更に日本だったら外患誘致罪で死刑という方向もありますが台湾の場合どうなるか
正直なところ、鳩山時代に今回の台湾並の売国法案を通されかねないと危惧していたもので・・・

No title

Blog主さまの分析はいつもなかなか面白い。
特に中国の内側から物を見られる視点は他ではなかなか得難いもの。
なのでもっと頻繁にBlog更新して欲しい~・・。
お忙しいとは思うのですが
アジア動乱の予兆とも見られる昨今の情勢を一般人が理解するうえで
重要な視座を与えてくれています。

No title

久々の更新、お待ちしておりました。

中共が台湾を取ってしまったら、太平洋進出及び日本を始めとした各国のシーレーンを
管理下に置かれるという深刻な事態に発展する危険があり、非常に心配です。

政権交代の下りを読むと、日本は非常に運が良かったというか、自民党に政権維持力が
残っていたことが良かったんだなとしみじみ思います。
一方で、良い方を選ぶのではなく少しでもマシな方を選ぶ羽目に陥った台湾には
同情を禁じえません。

今後、早めの更新を期待しております。。

2回目の書き込みです。

ここしばらくの間いろいろな識者とかのソーシャルを目にしましたけど
江沢民派が台湾併合を(存命中に)宿願のひとつみたいにしている、といった主旨の意見も
若干目にしたような気がしました。
江沢民てもう80代ですが数年以内に本格的に動く可能性は
(スペインの裁判所の手配の件とか、いろいろあるものの…)あるでしょうか。
お話うかがってますと、台湾に侵攻する余裕がまだ大陸の軍にはないということですが
ウクライナの件で、合衆国が台湾有事にも軍を動かさないだろうという懸念を持つ人が日本全体に増えたようで
(台湾が落ちたらシーレーンとかも途切れるばかりか尖閣諸島も、さらに沖縄全体も今より格段に危なくなるという危機感が増えるのも無理はないでしょうが)。
相変わらず尖閣については、偽装漁民という手で仕掛けてくる説をはじめいろいろな可能性を検証して対策しないといけないようですが。
自衛隊は今のところ、他国の軍に攻撃された場合でない限りほとんど何もできないことになってますし、
米軍がどんどん日本からも撤退していく兆しがありますし(今の政権がやってることも間に合うのかどうか不安に思うのが当然ですよね)
国務省やホワイトハウスがロビーイングされてる有様では…。
数年後や10年後も読めないのが怖い。

No title

>正宗さん
公約は政治家を選ぶ基準の全てではありませんからね。
その公約の信用性それ自体も選ぶ基準になりますし、イメージや外見、個人的な利害で一票を入れることが禁止されているわけでもありません。

日本の場合は選挙運動もルール化されていますが、それを破ったり、票の操作をしない限りは、やはり国民が選んだ指導者と位置づけられるべきでしょう。ルーピーも馬も。


>名無しさん
連日の深夜帰りやら家庭の事情やらでなかなか忙しくて。
ブログやウェブサイトにもう少し時間を割きたいところです。


>翠玉さん
台湾を抑えられるとかなり厳しいですね。
私は今の時点では核武装論者ではありませんが、核ミサイル&戦略原潜の導入は必須となるでしょう。やはり、そういった装備を手に入れるだけの下準備は必要なのでしょうね。

自民復活後の急速な実力回復は予想をはるかに超えるものでした。
政治の回復という点では、日本は他のほとんどの国よりもリードしつつあるようです。
今や東アジア、東南アジアで対中抑止に最も積極的な国家となりつつありますからね。
正直、日本がこれほど戦略的に「使える」国になるとは思っていませんでした。


>黒子さん
突発的な事態がなければ数年内の台湾進攻はまずないです。中国軍にそれだけの力がありません。しかし、数年間、突発的な事態、例えば台湾の内政の麻痺や主要国の破たん、中国の内部崩壊(の危機)などが起こる可能性は高いです。

いずれにしても、当初中国が見込んでいたほど台湾進攻は容易ではないということに中国政府も気づいたようです。軍事侵攻のオプションを捨てたわけではないですが、今後は資本による支配を進めようとするでしょう。実際、これは台湾人が最も懸念していることでもあり、今回の件でますます差し迫った危機と認識されるようになりました。「第二の香港」は台湾人にとって悪夢を意味する言葉になりつつあります。
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