スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

対艦弾道ミサイルが狙う戦争革命 China Naval Modernization 

度重なる日本への挑発にもかかわらず、中国の軍事戦略は常にアメリカを目標に考えられている。
これは中国らしく己の実力への過信はあるにしても、基本的には正しい考え方といえる。
中国がキーポイントと見定める対台湾、南シナ海、東シナ海(尖閣や沖縄などの対日戦)の全てに決定的な介入を果たしえる国家はアメリカ以外にはなく、他の国は介入してくるかどうかすらも定かではないし、核兵器も所有していないからである。

とはいうものの、中国軍はアメリカ軍に勝てるなどと思っているわけではない。アメリカ軍に対するとき、自らが弱者であることをはっきり自覚している。そこで弱者なりにアメリカ軍の介入を無力化、遅延、妨害するための各種準備を進めているのである。それが、Anti-Access/Area Denial (A2AD)接近拒否、エリア拒否と呼ばれる戦略であり、その目玉の一つが対艦弾道ミサイル(ASBM) DF21Dである。

以前、管理人はこの弾道ミサイルを「とんでも兵器の類」と評した。今でもその印象は大して変わっていないのだが、最近発表されたアメリカ議会の報告書『China Naval Modernization: Implications for U.S. Navy Capabilities--Background and Issues for Congress』(中国海軍の近代化)の中で、最も多くのスペースを割かれていた項目がこのASBMであったため、あまり無視してもおけないなと考え、情報をアップデートしておくことにした。とりあえず、これがネタその1ね。

C modernization for US congress

http://www.fas.org/sgp/crs/row/RL33153.pdf#search='China+Naval+Modernization%3A+Implications+for+U.S.+Navy+CapabilitiesBackground+and+Issues+for+Congress'

ASBM DF21Dは、従来型のDF(東風)21シリーズをベースに海上の移動目標を攻撃するために改良された弾道ミサイルである。最大射程距離は3000kmに上るという説もあるが、大体1500㎞以上と思っておけばよさそうである。この兵器の狙いは、正面から艦隊に戦いを挑まずとも、従来の対艦ミサイルよりもはるかに長い射程距離をもって、アメリカ海軍の空母を第一列島線、あるいは第二列島線の外側に留めることである。

同レポートでは、DF21Dはクラスター弾頭を用いれば目標を(沈めることはできなくとも)戦闘不能には追い込める攻撃能力があると述べているが、それはむろん「当たれば」の話である。「広範な海域の偵察と、目標補足システム」があればということであって、適当に配備して撃つだけでは、広い海の中では何の意味もなさないのである。

しかし、しばしば漏れ聞こえてくる情報からは、肝心な目標補足方法がさっぱり見えてこない。横須賀港など拠点にいる時ならばともかく、何千㎞も離れた航行中の艦船をどうやって見つけるのだろうか。人工衛星の写真を解析するとしたら、どんなに頑張っても「昨日のX時にはそこにいた」という程度の情報しか得られないので、攻撃座標の特定には程遠い。中国の偵察機がアメリカの空母を探すために沖縄を越えて飛んでくることも考えられない(航続距離のはるか外である)。潜水艦が無理をして補足するという方法もあるが、その位置を知らせるために電波を発した潜水艦は生きてはおれまい(潜水艦は自らの位置を決して知られてはならない)。

また、発射時の位置を補足したとしても、ASBMの発射から着弾まで15分はあるだろうし、15分あれば空母は10㎞ほども移動してしまうから、発射後の目標座標をアップデートする作業も必須である。そして、その情報をマッハ10以上の速度で突っ込んでくるミサイルの弾頭に認識させ、着弾位置を調整しなくてはならない。なお、マッハ5以上という速度では周辺の大気が摩擦によってプラズマ化するため、通常の電波受信は不可能である。かといって減速すると、弾道ミサイルの売りである馬鹿げた突入速度が失われ、イージス艦の迎撃が容易になるという二律背反状態。

うーん、管理人には、ASBMはやっぱり当たりっこない「とんでも兵器」にしか見えない。中国がこんなもののためにガンガン予算を投じてくれているのならウェルカムと言わざるを得ない。無能な敵は最大の味方であるのだから。

それにも関わらず、上記の報告書ではASBM対策がきっちりと示されている。実際には何もしなくても脅威にならないと思うが。ASBM対策はハードキル(迎撃ミサイルによる直接破壊)とソフトキル(かく乱、欺瞞による回避方法)に分けられ、発射から上昇段階、大気圏再突入時、降下時、接近時などの各段階でそれぞれ防御行動を取り、攻撃のための一連のプロセス(Kill chain)を破たんさせるという趣旨である。

興味深いことにこの防御行動のために、電波妨害、デコイ(囮)、偵察妨害、SM-3(迎撃ミサイル)など、お馴染みの防御行動が挙げられているだけでなく、レールガンや、艦載レーザーの配備も加速させる必要があるという聞いているだけで中二病がくすぐられるような提言まで挙げられている。むしろ、まともに機能しそうもないASBMという題材をエサに、ここぞとばかりに先進兵器導入用の予算を獲得しようとしているだけではないのかという疑念が湧いてくる。

本題からは外れるが、レールガンとかレーザーとか夢見てんじゃねえよ。などと思った読者がいたら、その認識は直ちに改めてもらいたい。レーザー兵器はトラックに積めるほど小型化が進んでいるし、レールガンも艦載型の開発が進んでおり、海上試験が始まるほど実戦配備に近づいている。どちらも一発あたりのコストが、これまでのミサイルなどよりはるかに安いことが売りであり、実戦に投入されるのはそれほど先のことではない。

ネタその2は中国の潜水艦など、もっと現実的な脅威についてまとめてみる。


スポンサーサイト

テーマ : 中国問題
ジャンル : 政治・経済

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

最新鋭ねこ

Author:最新鋭ねこ
パンダでも分かる!中国政治ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。