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習近平政権は、なぜ脳筋なのか?

尖閣をめぐって対立する対日外交だけでなく、対ベトナム、対フィリピンなど周辺諸国にも威圧的に振る舞い、そして、アメリカに対してさえしばしば挑発的な中国の外交。度々指摘してきたように一度にすべてを敵に回す考えなしの愚策である。

国内では天安門事件発生日である6月4日前後から続く言論統制、インターネット規制で時代錯誤の愚民政策を取り、抑圧に対して反乱を起こしたウイグル系には、徹底した弾圧で臨む。

ついには、日系自動車部品メーカー(12社で206億円ほど)やフォルクスワーゲン傘下のアウディ(300億円相当見込み)、BMWやクライスラーなども対象に、外資叩きに着手かと思われる多額の制裁金を科し始めている。

外交、安全保障、国内統治、そして経済政策に至るまで強硬策一辺倒かと思われる習近平政権の諸政策。一見して「脳筋」に見えるし、以前にも指摘した通り実際にそうなのだろうと思うが、その背景は比較的クリアに見えるように思える。

一つには指導者層の質である。質が一概にいい悪いと言うべきではないのかもしれないが、教養や知識レベル、特に国際社会と感覚や常識を共有するという点で、習政権は胡錦濤政権に大きく劣る。習近平ら世代は10代後半の多感な時期に文革を経験しており、かなり無茶な行動を取ることに慣れているだろう。また、同時に文革の経験と、その後の高度成長の中で教養よりも勢いや権力、金銭の方がはるかに強い影響を持ったことからも、教養の軽視と脳筋スタイルの普及は習政権に限らず現代中国指導世代の一般的な特徴である。

同時に社会がそうした指導者を歓迎する雰囲気に染まっていることが、もう一つの大きな要因といえる。中国では経済発展に伴い、特に2000年代からは教養が軽視され、知識人の意見が無価値なものとなっていった。知識や教養に代わって金銭と権力の存在感が増してきたという特筆すべき変化がある。むしろ、胡錦濤政権は現代中国では例外的にインテリな指導層であったと思う。

知識や教養の軽視というと、条件反射的に「文革のせいだ」と考える人も多いだろうが、その理由付けはかなり疑問である。少なくとも、文革終結後の80年代はリベラルな知識人層がもてはやされた時代であったし、それだからこそ、天安門事件は現在よく見られるような単なる略奪、暴動や争乱ではなく、民主化を要求する運動として盛り上がりを見せたのである。

逆にいえ、ば80年代以降、知識人層の影響力が頂点に達したのが1989年であり、それ以降は没落の一途を辿ったといえる。それ以降、彼らの影響力は低下し続け、特に挽回のチャンスも訪れないままに学術界も拝金主義に染まっていったのである。唯一の盛り返しは海外勢力の援護を得て実現した。天安門事件でも活躍した知識人らが、再び民主化を訴えた「08憲章」の発表である。これは2年後に起草者である劉暁波氏がノーベル平和賞に選ばれたことから、世界中で注目を集めることができた。しかし、中国国内ではごくわずかな抵抗が呼応して行われたのみで、社会的には何のインパクトを持つこともなかったのである。

この時すでに中国の社会はそうした抽象的理念の理想を受け入れるような雰囲気はなく、ナショナリズムと拝金主義が社会に充満していた。08憲章とノーベル平和賞のインパクトの薄さを見てとった管理人は、中国における知識人追跡を社会分析上無意味なものと最終結論を下した。同時に知識や教養を軽視する中国社会が、必然的に道を誤ることを確信し、中国の限界を見て取りもした。まさに今、その限界は露呈され、特に他国から見て中国の力は注目に値しても、彼らの語る言葉が耳を貸すに値しないものであることが広く認識されつつある。

中国は単に勢いだけで成長していける時代を通り過ぎている。人口ボーナス期の終了、価格競争力の低落、信用の欠如、高付加価値産業の未発展、世界中の消費者が抱く中国製品に対する不信、強大化した国力が必然的に招く他国の警戒、深刻な環境汚染。いずれの課題も力押しでどうにかなる性質のものではない。目先の権力と金銭にのみ執着し、知識と教養を軽視してきた現代中国社会は、その代価を払わなければならない。

習近平政権は今のところ、主に江沢民派の汚職官僚をスケープゴートにすることで庶民の人気を得ているが、そうして時間を稼いでいる間に、上に列挙された諸問題を一つでも進展させているだろうか。ただ、庶民のストレス、社会の怒りを転嫁してごまかしているだけで終わりならば、習政権は江沢民政権以下の最低の評価に終わることになるだろうし、周自身が長く生きていられるかどうかも怪しいところだろう。




いやー、夏はいかんね。暑いのは本当に苦手だ。やる気出ないっす。
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テーマ : 中国問題
ジャンル : 政治・経済

tag : チャイナリスク 中国政治 中国社会

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No title

今の中国にもそれなりにアカデミズムというものがあると思いますが、そういう学問の現場ではどのような状況になっているのでしょうか。自然科学系や工学系ではそれなりに論文が書かれ(質はともかくとして)ているようですが。
社会学とか歴史学などは共産圏ではかなり微妙な立場に立たされると思うのですが。そういった分野での学者はどのようにふるまっているのでしょうか。

No title

1~2ヶ月前かと思いますが、失脚に追い込まれた一派に関して「海外逃亡等ができなくなってる…」みたいな情報を読んだ覚えがあります。空港から行かせてもらえないないとか? 
海外に送金したり一族を分散して住まわせたりが伝統的な中華のリスクヘッジのようですが、そうした対策を完全に無効にしてしまうような……
本当だったら(習主席が究極の独裁を追求中、とのご説明ですが)退路を完全に断たれて絶望の淵に立たされた者たちの中からクーデターとか暗殺とかの企てが起こったりする可能性も高まってくるでしょうか少しは…?? 
もちろんそれを見越して自衛策強化はしているでしょうけど。。。

それで前首席より相当無教養なのでしょうけど、やはり…日本としては習主席の独裁が軌道に乗ったほうが外交しやすいでしょうか……? 
ジャーナリストの長田達治さんのつぶやきがあの保守速報にまで転載されちゃってましたが「水面下で中国側が交渉しかけてきてて、日中首脳会だが実現するのは時間の問題、領土問題がまた一時棚上げされるのも時間の問題、みたいな(韓国が慌てるのも同様、みたいな)」。
江沢民派って日本(台湾にもみたいですが)への強硬な態度が従来より極端なほど顕著な上、例の南シナ海の件でも勝手なことをしてるらしいですが、そのへんも独裁が完成に近づいたら沈静化する可能性高まるでしょうか? 

……と、つい先月末まで感じてたのですが……今月に入って大紀元に「健康を理由に江沢民が半ば軟禁状態」と報じられ、かと思うと昨日には死亡説が流れて、大激変の連続ですが……(暗殺とか自殺の疑いは??)
老齢ですし江沢民にどれくらいの判断力があるのか不明確ですけど、ご本尊の江沢民が、死亡or寝たきり意識不明とか完全行動不能にでもなれば江派はどうなるでしょう、弱体化や消滅に向かうのか、残った一派で新たな体制をつくって習独裁に刃向うのか。。。

No title

>名無しさん
アカデミズムはほぼ死語となっているように感じます。
学歴水準そのものは向上していますが、教育の質についてはむしろ低下傾向というべきでしょうか。工学系に関しては、大学院まで進む人は結構多いですが、ロクに指導を受けられるわけでもなく、教授の取ってきた仕事を無給でやらされ、それをもって学位と交換なんていうのが普通なようですね。

社会科学に関しては、ここ数年間で何の評価も聞きませんね。死に体なんじゃないかと疑われます。

>黒子さん
一派というか、捜査中の対象が海外へ逃げられなくなるのは前例がありますね。胡錦濤が陳良宇(当時の上海市総書記)を粛清した時も空港は厳戒態勢におかれていました。
これまでの記事でも言及してきたように、不可解なのは習よりも、やられっぱなしに見える江沢民派の方ですね。暗殺計画があってもちっとも不思議ではない。むしろ無いとしたら何故なのか。

習政権がくみしやすいかはスタンスによります。もし、日中友好を目指すのであれば鬱陶しい相手ですが、対中抑止を目標とするのであれば、やりやすい相手といったところです。江沢民派が一律に反日に染まっているということはないですし、東南アジア諸国に対する蔑視は中国ではごく普通なので、江沢民派のせいというだけでは説明になっていないように思いますね。

習が独裁権を握ったところで、外交摩擦は解消されませんし、あまり解消されるようだと国内の不満をナショナリズムに転嫁できなくなるので、習政権も困ってしまうでしょう。習は他国の価値観をそのまま消化、理解できるタイプの人間ではないように思います。中華フィルターに染まった見方しかできないので、摩擦をうまく調整するのは能力的に困難でもあるでしょうね。

江沢民危篤説、死亡説も流れていますが、これは半々くらいで見ておくべきでしょう。年齢からして、事実でも不思議ではないのですが、中国のトップクラスの消息というのはとにかくデマや飛ばし観測が多い。なお、江沢民が死亡した場合、江沢民派を再統合できる人材はいません。曽慶紅は能力的にはできるでしょうが、なかなか単純な人物ではないので、ポスト江沢民という単純な役を演じないでしょう。

江派は弱体化し解体して、より小規模な利益同盟に再編されていくでしょうが、意外とその方が習近平暗殺のリスクは高まるかもしれませんね。何せアクターが増えるわけで、無茶に走る勢力が出てくる可能性も上昇するのではないかと。

改めて読み返してみた

こんばんは。4月6日のエントリー、チャイナマネーを読んでアレっと感じました。
3.中信集団の資本移転が意味するのは何か?
の部分です。ここで、最近の元建て英国債発行のニュースを思い出しました。海外(英国)に資本を逃がしやすくなったのは偶然ですかね。中国はなんか目が離せなませんね。

No title

>ひでぴょんさん
香港への突然の資金移動。それもとてつもない規模でしたね。
結局のところ、あれは香港支配の一環ということでしょう。香港を本土資本の支配下に置くためのマネー移動であったと見てよいと思います。
香港市民の必死の抵抗を応援したいですが、香港市民には移民という逃げ道があるがゆえに最後まで抵抗するという図式にはならないでしょう。よって中国政府が有利といえます。
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